Jリーグクラブ・水戸ホーリーホックを裏方としてサポートする、ボランティアスタッフのブログです。

2017/051234567891011121314151617181920212223242526272829302017/07


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
underdog.jpg

最終話 「そして飲み会へ・・・」

(あらすじ◆3-3で残り時間わずか。前線へ上げさせられた俺が、点を取るしか勝つ方法はないらしい。
中盤のドタバタした危なっかしい展開で、ボールをかっさらった怪しい影。ふ、古田くん!
「さあ・・・行くよ!」彼の右足から放たれたパスがもたらすのは、歓喜か脱力か?)

 →前回のお話

<登場人物>

主審・・・リーグ戦他チームからの持ち回りで試合の笛を担当。
選手としては「走れるトップ下」で鳴らす。スタミナを買われて審判を兼ねる場面多し。
当初は視野の確保に苦労したが徐々に順応、この役回りも色々勉強になると気に入ってきた模様。




ライナー性のボールがピッチを一刀両断。
ドタバタした流れで相手DF陣の足が止まっている中、俺は一足早くスタートを切っていた。
通ればビッグチャンス!でもちょっと長いんじゃないのか?
古田くんどっちかというとSだよな、懸命に走りつつしょうもない事を考える。

キーパー飛び出して、直接ボールをキャッチしようとする。ペナルティエリア手前でワンバウンド。
もう一歩、足りなかったか・・・と、何故かボールが俺に向かって戻ってきた!
古田くん、バックスピンをかけていたのか!!?こんなの漫画でしか見た事ない。


絶好の形だ。キーパーが出てきた分、シュートの選択肢は多い。
でもそれはかえってプレッシャーになった。右か、左か、股抜きか、それともループか。
コンマ数秒の躊躇が状況を悪くする。5番と8番、俺を潰しにかかろうと引いてきた。

打て!!誰かの声がした。その言葉に反応するように、右インサイドで転がす。
最後は自分らしい、基本のシュートを選んだ。キーパー足を伸ばし防ごうとするも紙一重ですり抜けてゆく。
ちょっと弱かったか?勢いはないがゴール右隅へ向かっている。



「・・・ガンッ!」ポストを叩く無情の音で、ボールがはね返された。
駄目だ、詰めなくては。走り出すも足にきていた。
5番が既に俺を追い越している。やっぱり俺じゃ決められなかった、石川すまん。
そう思った瞬間、足がもつれて転んだ。ああ、万事休す。

絶望と情けなさでかすんでいく俺の視界に、見慣れた背番号9。
風のような速さで5番を追い抜き、ボールに猛進していく。

石川がちらりとこちらを見やる。先輩、パス送りますから。
お前、そんなにも俺のゴールにこだわっているのか。
だけどもう駄目だ。さっきの場面でイメージ使い果たしちまった。
頼む、ここはお前が決めてくれ・・・心の中で懇願した。この時俺はひどく情けない顔をしていたと思う。


背番号9からは何の表情も読み取れなかった。
大きなモーションから思い切り右足を振りぬき、ネットを突き破らんばかりにゴール中央へ叩き込む。

・・・・・・そうだ、それでいい。やっぱり最後はお前なんだ。
俺は平静を装いユニフォームの砂を払うと、ゴールに背を向ける。
さあ、このロスタイムをきっちり守り抜こう。

そう思った矢先、背後から「ドーン」と衝撃。
鼻をすすり上げて顔面をぐしゃぐしゃにした男が、俺に飛びついてきた。
石川、お前泣いているのか。
馬鹿、試合はまだ決まってないんだぞ・・・って、ここで試合終了の笛。
主審空気読みすぎだろう!あれれ、主審もらい泣きしてるじゃないか。


自陣からワッ!と歓声が上がり、皆こちらに向かって走ってくる。
まるで優勝したかのようなテンション。子供や犬のように飛び跳ね、よくわからない叫び声を上げている。

いつの間にか俺を中心に輪ができ、黒沢さんから衝撃の一言。「よーし、胴上げだーー!!」
ま、待ってください黒沢さん、ここは昭和ですか!?

爆笑の後、俺はかつぎ上げられ「わっしょい!わっしょい!」と2度、3度と宙に舞う。一体何なんだこれは。
前山さんの子供が輪の外ではしゃぎ回り、古田くんはいつの間に持ってきたのか、カメラで情景を収めている。
わけがわからないけど、めちゃくちゃ嬉しかった。


今日の試合は伝説として、飲み会で集まるたびに語られるのだろう。

(おわり)

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。